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みんなのたのしい、だいすきをみつける保育園《宮森保育園》

8月4日、「保育のおしごと体験」に6人の高校生が参加しました。今回は、近鉄橿原線・笠縫駅近くにある約180名の0~5歳児が通う宮森保育園。既に他の園の体験をした方も参加されていました。
早速体験の始まりは、先生からの説明のあと、5歳児クラスへ移動し自己紹介を行いました。少し緊張した面持ちで教室に入った高校生たちでしたが、子どもたちの元気な声にすぐに打ち解けていきました。

この日のイベントは、園児たちが心を込めて作ったドラえもんのお面とハッピを着ての盆踊り大会!にぎやかな音楽が園内に響き渡り、踊る子どもたちの笑顔に、高校生たちもついつい一緒に体を動かしてしまうほど。
続いて始まった屋台コーナーでは、先生たちが趣向を凝らした出店がずらり。ポップコーン、かき氷、焼きそばにたこ焼き、おみくじまで揃った“本気”の夏祭りに、園児たちも高校生たちも夢中になって楽しみました。
高校生たちは、園児と手をつないでブースを回ったり、お世話をしたりと、保育の現場を肌で感じる貴重な体験をしました。無邪気な子どもたちの笑顔と、温かく見守る先生たちの姿に触れたこの一日は、きっと彼らの心に残る「夏の宝物」になったことでしょう。

参加した高校生からは「小さな子と関わるのは初めてで最初は緊張したけれど、子どもたちが笑顔で接してくれて嬉しかった」「おみくじやお面配りを通して自然に話ができて楽しかった」といった感想が寄せられました。
「子どもたちが目をキラキラさせながら『これなに?』と聞いてくれて、自分も元気をもらった」と話す生徒も。保育士体験を通じて、「声のかけ方や目線の合わせ方が大切だと感じた」「先生たちの子どもへの関わり方がとても勉強になった」と、学びの多い一日となったようです。
中には「またここで体験したい」「全部のクラスを回ってみたい」と、保育の仕事に興味をもったという前向きな声も聞かれました。

この日は、奈良県立二階堂高等学校の辻校長先生と総務部の西川先生もご同席され、参加した高校生の様子を見守られていました。

辻校長先生は、生徒たちが保育の現場で真剣に取り組む様子を見守りながら、語られました。
「実は、保育士を目指している生徒ばかりではないんです。にもかかわらず、こんなにも多くの生徒が自主的に応募してくれた。これは本当にうれしい誤算でした。
これまでの職業体験は、学校側からお願いして実施することが多かったのですが、今回は生徒たちが自ら申し込んでくれたんです。こういう体験の機会がもっと増えれば、進んで参加する生徒も増えてくるはずです。
高校生のうちに、保育士に限らず、将来を見据えていろんな職場を経験することはとても大切だと感じています。
子どもたちと関わることで、生徒たちがどこか忘れていた“本来のやさしさ”や“純粋な気持ち”を思い出してくれている。全員に体験してもらいたいくらいですね」

西川先生は、当日生徒たちの様子を見守りながら、その成長ぶりに驚きを隠せなかったと話します。
「正直、少し心配していたんです。普段は欠席がちだったり、ルーズな面のある子もいたので……でも、みんな10分前には集合し、体調管理までしっかりしてきたんです。本当に驚きました。誰に言われたわけでもなく『手袋貸してください』と自ら行動する姿を見て、本当にうれしかった」
現場で見せた生徒たちの姿は、学校とはまるで違っていたそうで、「普段注意されがちな子が、ここでは子どもたちと優しく関わっていた」と、その変化に驚ろかれていました。
「保育の現場には、他の職業体験にはない良さがある」と語り、「子どもたちからの“ありがとう”という言葉が、生徒たちに“認められた”という実感を与えてくれた。本当に素敵な時間だった」と、感慨深く話してくれました。
最後に西谷園長先生に、今回の体験を通しての感想を伺いました。

「正直、最初は高校生が子どもとうまく関われるか不安でした。思春期で照れもある時期ですし、子どもと接する経験も少ないかなと思っていたので。
でも実際に来てくれた生徒たちは、子どもの目線に合わせて自然に関わってくれて、本当に驚きました。子どもたちもすぐに打ち解けて、『お兄ちゃんお姉ちゃんと遊びたい!』という様子で、いつも以上に楽しそうでした。
学校の先生も“あんな積極的な姿は見たことがない”と驚かれていました。
子どもたちの純粋さが、高校生の素の姿を引き出してくれたんだと思います。
私自身も、中学時代に保育園で職場体験をしたことがきっかけで今の道に進んだので、こうした経験が生徒たちにとって将来のヒントになれば嬉しいですね。」
取材を通じて強く感じたのは、保育の現場が高校生たちの成長を引き出す特別な場所であるということです。最初は少し頼りなく見えた生徒たちが、子どもたちの純粋な笑顔や「ありがとう」の一言で驚くほど主体的に動き始める姿に、何度も心を打たれました。
園の先生方がその小さな変化に気づき、温かく見守る姿勢もとても印象的でした。3園を回って感じたのは、保育の仕事が単に子どもを預かるのではなく、人を育て、人を輝かせる場であるということ。
そして今回の体験は、仕事の内容を知るだけでなく、生徒たち自身が自分の中にある優しさや責任感に気づき、「人と向き合う」ということの意味を考えるきっかけにもなったように感じます。
高校生たちにとっても、将来を見つめる大きな一歩となる、かけがえのない経験になったことは間違いありません。
