奈良県田原本町にある唐古・鍵遺跡の第129次調査で、弥生時代中期末から後期初頭(紀元1世紀前後)のものとみられる鋳造鉄斧(ちゅうぞうてっぷ)が出土しました。鉄製品が同遺跡から出土するのは今回で6点目ですが、この鉄斧は最も古い時期のものであり、さらに奈良県で初めて確認された鋳造鉄斧として注目を集めています。
唐古・鍵遺跡とは
唐古・鍵遺跡は、弥生時代の大規模集落跡として全国的に知られており、住居跡や土器、木製品、石器など多彩な出土品から、当時の生活や文化を知る重要な手がかりを提供してきました。今回の鉄斧の発見は、この地での鉄利用の始まりを示すものとして、考古学的にも大きな意味を持ちます。
調査の概要
- 調査期間:令和7年2月20日~3月14日
- 調査場所:田原本町大字鍵169番
- 調査面積:60㎡(うち弥生時代遺構の調査は20㎡)
- 検出遺構:弥生時代中期の溝、後期の溝2条と井戸1基
- 出土品:弥生土器、石器、木製品、鉄製品、ガラス玉など
特に今回の鉄斧は井戸の底から見つかったもので、保存状態も良好。鉄器文化が日本列島にどのように広がったかを考える上で、貴重な資料となります。
8月21日(木)田原本青垣生涯学習センターにて説明会が行われました。


