夫の「言葉」が仕事と家庭の両立をラクにしてくれた
発達障害や精神障害、知的障害などを持つ人たちの就労継続支援事業を行う株式会社Sign(サイン)。代表取締役の豆川涼子さんは3児の母でもあり、2014年の創立時は第2子が幼稚園に通っていたころ。
「母がSignの前身のメイトという会社を経営しており、私も働くお母さんを見て育ちました。今、支えてくれる夫がいて、子どもたちも中学生、小学生になり手もかからなくなってきて。でも、しんどさを感じていた時期もありました」
もともと、仕事も家庭も「キッチリやりたい」性分。朝、家を出るまでに「ここまで片付けてから、家を出たい」といったマイルールを守っていたそう。
「夫に言われたわけでもないのに、自分でそう決めていて。だんだん、しんどくなりました。8年くらい前に夫が『ママはどっちもがんばりたいんだね。でも、感情がある方を優先したらいいんじゃない?』と言ってくれて。すごく救われました。それから、家事はそこでいいな、と思えるようになったんです」
豆川さんの「がんばり過ぎない」は、自身の経営方針にもつながっている。
「当社の職員は全員、お母さんなんですね。なので『子どもが熱を出して』ということも起きます。『申し訳ありません』と連絡をくれるのですが、『家族あっての仕事だから』と伝えています。そういうことに対応できるよう、職員を多めに雇用しているんですね。人件費を削減したら会社の利益は上がります。でも、ギリギリの人員で回していると疲弊して退職者を出すことになってしまう。だったら働きやすい環境を整え、長く働いてくれる人が増えるほうが、企業としてはありがたいと考えています」

「生きる力」を身につけることの大切さを伝えたい
Signでは就労継続支援事業A型・B型、カフェ「daisy」を運営している。製造、提供しているスイーツは自社ブランド。PRiSM5号で紹介した、株式会社大和農園が開発した新品種のトウモロコシ「大和ルージュ」を使った商品が「天理ブランド認定品」にもなっている。
「スイーツはすべてプロのパティシエのスタッフが監修しています。当社の広報担当の平塚がメインで、店舗の内装なども担当しております。奈良で生まれたものを全国に届けたい。利益を出して就労している人たちの正規雇用につなげたいんです。なので、クオリティを高めることにこだわっています」
豆川さんの経営理念は、すべての「働く人」に通じることだ。
「精神疾患や発達障害、知的障害のある方々にとって、社会一般での『当たり前』が難しいことも多々あります。社会に出たけれど、ついて行かれずメンタルを病んで引きこもってしまった。その後、発達障害グレーゾーンの診断を受け、就労継続支援事業のA型から始めるケースも多いです。それぞれの特性に合った訓練を重ねると、伸ばしたいところが見えてきます。同時に、覚えたり身に着けたりする必要があることも発見できます。それは障害がない人たちにも通じることだと思うんです」
「確かに、自分の得意と不得意を知ることは大切だ。もし今、お子さんに不安があるなら、将来の『働く』を見据えた養育が『生きる力』になることを、知ってもらえたらと思います」

優しい甘みとくちどけが絶品。

【Cafe daisy】
住所:〒632-0016 奈良県天理市川原城町268−2
オフィシャルHP:https://www.daisy-withkids.jp/
オフィシャルInstagram:https://www.instagram.com/daisy.tenri2/
PRiSM 10号 2025年4月25日発行 より



