【PRiSMな人】8年前、専業主婦からハンドメイド作家に！夫婦で法人化し、会社経営へ。/アスティンムーラーオーナー高桑あすかさん

きっかけは趣味で作った”押しフルーツ”のスマホケース

「第一子を出産後、『ハンドメイドの趣味を持ちたいな』と思ったんです。押し花でスマホケースを作ろうと思ったけれど、花がなかったので。家にあったキウイフルールで作ったのが始まりでした」
と語るのは、果実デザイナーとして活躍中の高桑あすかさん。奈良市出身で、現在は大阪在住。

　専業主婦から、ハンドメイド作家になり「アスティンムーラー」を立ち上げたのが2016年。
3年度、夫の亮介さんが代表取締役となり法人化した。

　趣味の作品を販売するきっかけは、1人の外国人観光客の言葉だったそう。
「子どもと散歩中に写真を撮ろうとスマホを出したら、声をかけられたんです。『それ、すてきね。どこで買えるの？』って。『買いたいとおもってくれる人がいるんだ！』と、すごくうれしくて。その日のうちにハンドメイド作品を販売できるサイトに登録して、作家デビューしました」

　順調に売れ始め、次第に手が回らなくなり妹さんと友人に梱包や発送を依頼するようになっていった。
「趣味として1人で始めたことが、すこしずつ実を結び、雇用をして社会の一員として生きることの喜びを感じました。半面、作品のクオリティや売り上げを継続的に維持することへの責任もしっかり考えなくては、と思うようにもなりました」　

　作家デビュー当時は子どもを寝かしつけた後が、あすかさんの仕事時間だったのだそう。
「そのころ、夫は会社員だったのですが、かなり前のめりに応援してくれていました。一緒にフルーツをカットしたり、具体的なアイデアを出してくれたりしていたんです。」

　注文が増え、土日にあすかさんが作成をしているときは、亮介さんが子供を連れて公演に遊びに連れて行くこともあった。
「その様子を見た人に『ご主人、休日にやすめていなくてかわいそう」といわれたことがあって。
　私が気にしていたら夫が『仕事なんだから、堂々としていたらいい』と、全面的に応援してくれました」
　
　法人化を提案したのも、亮介さんだった。
「当時、私は2人目を妊娠中だったのですね。なので、夫が会社を辞めることに周囲は大反対でした。でも、夫がすごくいい顔をしていたんです。だから、大丈夫って思えました。」

　亮介さんがショップページ管理やSEO対策、広告など対外的なやり取りを担当。あすかさんはデザインや制作業務を担っている。
「夫婦での会社経営は、得意不得意で仕事を割り振れるのがメリットだとかんじています。一報で意見が割れたときの決定権の所在があいまいなのが悩ましいです。”上司の鶴の一声”で決められないので」

「astin muhler」果実デザイナー。2016年に専業主婦からハンドメイド作家に。奈良県出身

3人の子育てと会社経営の両立ポイントは「頼る」こと

　保育園と小学校に通る子どもたちのママさんでもある、あすかさん。
「最近、『テレビを見ながら1日30分だけでOK』という美顔器をかったんですね。でも、買った後でここ何年も、座りながらテレビを観る時間がないことに気づきました。子育ては保育園や自治体のサービス、家事は時短家電や冷凍食品に頼って、まわしています」

　働く女性をサポートするための、サービスや商品を使うことへの罪悪感はないと、あすかさん。
「そうすることでお母さんが笑顔でいたほうが、子どもが幸せだと思うんです」

　あすかさんが、チャレンジを重ねてこられた理由を尋ねると「アインシュタインの有名な言葉です」と返ってきた。
「『失敗をしたことのない人間は、新しいものに挑戦したことのない人です』という言葉が大好きなんです。一度きりの人生ですから、私は成功も失敗もできるだけたくさん経験したい。だから迷っている時間があれば、行動してしまえばいいと思っているんです。スタートしてすぐには認められないし、反対もされます。
　私もＳＮＳで『子どものオムツ代でも稼ぐつもり？』なんていわれたこともありました。でも『私はそうは思わない』と自分が自分を信じていればいいだけのことだと思っているんです」

この秋には、奈良県産の柿を使った新作を発表。サイトには見ているだけで気分が上がる作品ばかり。ぜひ、チェックしてみて。